はじめに
- 吉備高原医療リハビリテーションセンターのホームページをご覧いただきまして厚く御礼申し上げます。この度は、一人でも多くの脊髄損傷者が“TAX PAYER”として社会で活躍していただけることを願って、国立吉備高原職業リハビリテーションセンターと連携した相談窓口を開設いたしました。
- 脊髄損傷に関する全国調査(2018年)によりますと、平均年齢は66.5歳で、頚髄損傷者が88.1%を占めます。1990年代に行われた調査と比べて、いずれも増加傾向にありますが、依然として約3割が60歳未満であることが本疾病の特徴です。
- 生産年齢にある障害者のリハビリテーション医療において、理想のゴールの一つが職業復帰です。仕事をすることで経済的な基盤が確立され、社会との繋がりと貢献を実感できます。
脊髄損傷者、特に介助量が多く社会参加する機会も減る傾向にある頚髄損傷者は、一時的に自らの存在価値を見失うこともあり、仕事を通じてそれを再認識できることに大きな意義があります。 - 下肢だけでなく上肢にも障害が残る頚髄損傷者の職業復帰は決して容易ではありませんが、昨今の情報技術の発展・普及による勤務形態の変化が確実に就労の道を拓きつつあります。
実際、合併症による体調不良など、その障害の特徴を十分理解したうえで、完全な在宅就労の形態で頚髄損傷者を雇用する企業もでてきています。
医療機関では直接お仕事を斡旋することはできませんが、それぞれの方に適した方向性を示し、そのお手伝いをすることはできます。当センターでは職業復帰するために必要とされる日常生活関連動作のトレーニングや環境の整備、合併症の管理などを行いその支援をしております。
さらに、隣接する国立吉備高原職業リハビリテーションセンターと連携し、職業リハビリテーションの制度を有効活用した職業復帰のための取り組みも行っています。 - 我々リハビリテーション医療に従事する者は、職業復帰に関する有効な情報を収集し、意欲と能力のある脊髄損傷者の職業復帰の実現に努める必要があると考えています。
脊髄損傷者ご本人やご家族はもちろん、脊髄損傷者を雇用する立場にある方、医療に従事する方、どなたでも結構です。脊髄損傷者の職業復帰に関してご相談いただきたく存じます。
院長 古澤一成