この「脊髄損傷を負われた方とそのご家族へ」は、脊髄損傷というけがを負い、これから社会の生活に戻る準備をされる方に参考にしていただくためのものです。
脊髄損傷を負われた方とそのご家族へ
急性期医療機関と社会復帰を担当する医療機関
医療が発展し、その制度が変わる中、我が国における脊髄損傷のリハビリテーション(リハビリ)医療のシステムも大幅な変化がもたらされました。
以前は受傷後、搬送された医療機関で脊椎手術などの急性期医療を受け、その後も同じ医療機関で家庭や職場に戻るまでリハビリをするのが普通でした。ところが、医療の内容が高度になるにつれ医療機関の役割分担が生じ、今では急性期医療を行う医療機関とその後の社会復帰までを担当する医療機関は明確に分かれています。したがって、多くの方は、急性期医療を受けた後は他の医療機関に移り(「転院」といいます)、社会復帰のためのリハビリを継続することになります。
吉備高原医療リハビリセンターの特色
吉備高原医療リハビリセンターは、急性期後の社会復帰までの医療を担当するリハビリ専門病院です。吉備高原医療リハビリセンターで入院をしてリハビリ治療を受けておられる70~80%は、けがや病気で脊髄損傷を負われた方で、これが大きな特色です。
今、これを読んでいただいている脊髄損傷を負った方やご家族は、社会に戻れるのかを非常に心配し、不安に思っていらっしゃると思います。過去に吉備高原医療リハビリセンターにて医療を受けていただい方々も、最初は同じようなお気持ちでした。ただ、吉備高原医療リハビリセンターの過去のリハビリ治療結果を見ていただいてもおわかりになるように、多くの方がリハビリの訓練に励み、合併症の管理を身につけ、障害を残しながらも無事に社会に戻られています。
(詳しくは、当センターの紹介冊子の「リハビリテーションの結果」をご覧ください。)
また、家庭に戻られる(「家庭復帰」といいます)だけでなく、元気にお仕事や学校に戻られて(それぞれ「職業復帰」「復学」といいます)いる方もたくさんいらっしゃいます。吉備高原医療リハビリセンターには、国立吉備高原職業リハビリセンター(外部ページに移動します)が隣接しており、職業復帰のためのリハビリ医療にも力を注いでおります。特に若くて、自立度の高い日常生活が将来予想される方の場合は、当初からお仕事や学校に戻ることを全職員が当たり前として考えている病院です。
吉備高原医療リハビリセンターのリハビリ医療では、どのような形で社会に戻られるのかを非常に重視しております。また、「職業復帰」に限らず、その方に合った社会復帰の形態のなかで、最も高いQOL(Quality Of Life:生活の質)を獲得できるように心がけております。
脊髄損傷者のリハビリ
脊髄のけがや病気の場合、麻痺が回復する方もおられますが、程度の差こそあれ通常は残存します。リハビリ医療では、病気やけがの治療だけでなく、社会に戻るためのあらゆる準備を、その方に適切な期間を設定して行います。吉備高原医療リハビリセンターは、これを実践している専門病院で、リハビリでは以下のことを行っています。
- 手足の麻痺を補う生活方法(「歩くことが困難ならば車椅子を使う」など)を獲得するための訓練を行います。
- 脊髄損傷には麻痺以外の合併症(直腸や膀胱、皮膚、体温調整、血圧に関するもの)が生じますが、社会に戻った時にご自分もしくは介護者の方自身で、その管理ができるように、技術や知識の習得を行います。
- 生活様式が変わることに対する生活環境の整備(家屋の改造など)や学校や職場との調整なども支援します。
吉備高原医療リハビリテーションセンターでリハビリを希望される方
急性期医療を受けておられる方、あるいはそれが終了し、次のステップを考えなければならないが、どうしてよいかおわかりにならない方、是非、下記にご連絡下さい。
遠方の方もご心配は不要です。過去のリハビリ治療結果からもお分かりになりますように、外傷性脊髄損傷を負われた方の約半数が岡山県以外から来られています。また、医学的な理由で吉備高原医療リハビリセンターへの受診が困難な場合、中国四国地区、近畿地区であれば、入院中の医療機関のお許しがあれば、こちらからお伺いし直接説明できる場合もございます。吉備高原医療リハビリセンターで入院にてリハビリ治療を受けていただくのがよいのか診察をさせていただきます。
お問い合わせ先
吉備高原医療リハビリテーションセンター 地域医療連携室
Tel 0866-56-7046 Fax 0866-56-7148
E-mail:soudan@kibirihah.johas.go.jp
月曜日~金曜日(祝祭日・年末年始を除く)
8:30~17:00